ロジカル・シンキング(論理的思考力)を身に付けたい!
でも、どうやって身に付けたらいいのか分からない…というお声を良く頂きます。
一般的にはロジカル・シンキングは『難しそう』というイメージがあります。
実際に、グロービス経営大学院、東京工科大学院、SBI大学院大学などでMBA(経営学修士号)の取得の為のカリキュラムのとしても組み込まれています。
また、外資系コンサルタント会社であるマッキンゼーやゴールドマン・サックスなどでも使われている、めちゃくちゃ複雑で難しい内容が本で出ていたりします。
世間的にはこの2つのイメージが強くて『ロジカル・シンキング=難しい』が定着してしまっているのです。
はっきり言ってこの2つで使われている高度なロジカル・シンキングは、一般的な企業や社会では全く必要ありません。
今回はできるだけわかりやすく「身に付けたい!でも、難しいのは嫌」っていうあなたにも、明日から使って頂けるように5つのポイントを出来る限りシンプルにわかりやすくお届けいたします。
ロジカル・シンキングを身に付けたらどんないいことがあるの?
ロジカル・シンキングが身に付くと仕事の現場でも、プライベートでも様々な場面で役に立ちます。
主なところだけでは
- 報・連・相が的確にできるようになる
- 客先に打ち合わせの際に効果的にヒアリングできる
- プレゼンテーション資料が飛躍的にわかりやすくなる
- プレゼンテーション資料作成時間の大幅な短縮ができる
- 人にわかりやすい説明ができる
- 賢い=仕事ができる人だ!って思われる
- 法人営業では成績が何倍にもなる
- 本を読んでいても論点がわかる
- 要約が上手くなる
- 交渉が上手くなる
などなど、メリットがたくさんあります。
ロジカル・シンキングは習慣の一部です。また、使い分けることもできます。
ちゃんと物事を考えたい時や人にしっかりと物事を伝えたい時に使えるとかなり強力な武器となります。仕事の成果を上げたい方は絶対に身に付けておいて損はないスキルです。
暗黙のルールに気をつけろ!
自分は理路整然と話しているつもりでも相手に「なぜそうなるの?」とか「結局なにが言いたいの?」と言われた経験はないでしょうか。
そんな時には『暗黙のルールの共有』が出来ていないのです。
話し手と聞き手が暗黙のルールを共有出来ていないと、話が噛み合わなくなり自分の言いたいことと、相手に伝わっていることに『差』が生じます。
これが「なにを言っているのかわからない」という原因となってしまいます。
ロジカル・シンキングを始めるにあたり一番初めにすることは『言葉の定義』です。相手と自分が、同じ認識が出来ている状態にする必要があります。
1つの例としては『できるだけ早く』という言葉です。
仕事でよく言われませんか?この解釈は人によって違います。できるだけ早くが1日の人もいれば、3日の方もいます。
お客様と自分の認識が一致していたら問題はありません。しかし、そうではなかった場合には『ズレ』が生じてしまいます。
ズレていた場合は対応しないといけないのはお客様・・・ではなくて『自分』です。
こちら側のミスになります。
しっかりと言葉を定義しておかないと話を進めるにあたり論点がズレてきます。
言葉が定義されていないといのはボタンを掛け違えているのと同じです。
論理的に筋道を通った話をお互いに進めていくにあたりちゃんとした『ズレない』ようにしっかりと曖昧な言葉は定義しましょう。
「論理」が飛んでいるところを見つけ出す
路上駐車は迷惑だ!と思ったことはありませんか?
普段の会話では意味はわかります。しかし、これは論理的には通っておりません。
『路上駐車=迷惑』というふうに紐付けが出来るのは私たちが路上駐車を知っていて実際に迷惑だ!って思った経験があるからです。
高度な内容になった場合にはしっかりと意味と意味の架け橋を繋げてあげる必要があります。
『路上駐車が迷惑だ!』を意味が通るような文章にすると
路上駐車は
↓
車が駐車していて道幅が狭まり、通常時のようにすれ違えない
↓
すれ違う際に一方が待たなくてはいけないので渋滞がおこる
↓
よって、迷惑だ。
となります。
話がわかりにくい!!って言われる多くの原因が自分ではA=Dであると理解できているのですが相手が、AとDが繋がっていないのです。
そういった場合にはしっかりとA→B→C→DなのでA=Dですよ。と噛み砕く必要があります。
論理的とは、意味が相手に伝わって初めて論理的と言えます。
伝わってないと全く意味がないので相手がわかりにくそうにしている場合にはしっかりと話と話を噛み砕き、小さな架け橋を、多く挟むように心がけましょう。
帰納法を有効的に使う!
帰納法とは『関連事項から類似点をまとめあげたものを結論とする』です。言葉だけ聞くと難しいですが日常でも使われております。
オススメの飲食店を人に進める時に「ここは安くて、店長さんもいい人で、味もめちゃくちゃ美味しんだよ!」とか、「オシャレで、個室になっていて、景色が綺麗なんだ!」とお気に入りのお店をオススメしたことはありませんか?
これがまさに帰納法を使っております。
A=安い、B=店長がいい人、C=美味しい
A(安い)だけだと弱いし
A(安い)とB(店長がいい人)だけだと物足りないなぁ
A(安い)とB(店長がいい人)とC(美味しい)もあるなら大丈夫だ!
3つ揃うと信用力が増します。
結論をしっかりと説得力のあるものにするために『適切な根拠』をしっかりと並べることが大切です。
この適切な根拠とは『観点が違う』ものを並べるといいでしょう。
例えば、好きな女の子に告白する時に「猫目が好きで、プルッとした唇が好きで、胸が大きいところや、足がキレイなところが好きなんです!」って伝えると「見た目だけかい!!」ってツッコまれます。
一方で「趣味の山登りが一緒で、性格が明るく、気が使えて、背が小さくて可愛いところが好きです!」っていうと相手は、「ちゃんと私のこと見てくれていてステキ!!」ってなります。(なるはずです!!笑)
最初の例の根拠は、見た目だけでした。
次の例の根拠は、趣味と性格と見た目の3つが揃っています。こういった観点が違う根拠を上げることができると説得力は増します。
これはビジネスでも同じです。
- 価格
- 納期
- 品質
- アフターサービス
- 営業マンの対応
など、それぞれが明確に他社よりも勝っていると、相手には説得力が増して、購買するに十分な理由となります。
モレなく、ダブリなく
『モレなく、ダブリなく』とはミッシーの考え方です。
ミッシーとはMutually Exclusive and Collectively Exhaustiveの略で
Mutually:お互いに
Exclusive:かぶらず
and Collectively:全体として
Exhaustive:モレがない
です。
英語が並んで難しそうですがそんなことはありません。カレーを作る時もある意味ミッシーです。
カレーの食材を買う時に「にんじんは千葉産と徳島産2種類じゃがいもは北海道産と中国産の2種類、玉ねぎは淡路島産と北海道産の2種類。肉とカレー粉はなしでいいかぁ!!」
って買いませんよね。野菜はかぶっているし、肉とカレー粉はモレているし。
全て適切な量で適切な材料を揃えないとカレーは作れないし、作れたとしてもめちゃくちゃロスが出たりします。
論理的に考えたり、相手に伝える時もミッシーを使ってしっかりと整理する必要があります。
ミッシーで整理できていると全体的理解しやすく、しっかりと区切られているので、切り分けもできます。
ミッシーについては色々難しく書かれているところもありますがシンプルにこの2つの質問に答えられるようにするといいでしょう。
その質問は2つ
①「分け方がザックリ過ぎてない?』
②「ちゃんと全体的にカバーできている?』
です。
この2つに答えられるように全体の切り口をしっかりと整えていきましょう。
究極の説得ツール『ピラミット・ストラクチャー』
ピラミット・ストラクチャーはロジカル・シンキングの考え方が詰まった究極のツールです!これさえしっかりと使いこなすことで生産性は飛躍的にアップします。
ピラミット・ストラクチャー参考図
ピラミット・ストラクチャーが活用できる場面
プレゼン用資料作成
プレゼンテーション用のパワーポイントを作成する時に全体像がしっかりと把握でき、わかりやすい資料の流れを作ることができる。
・主張・結論=『弊社の商品はいいですよ!』っていう商談の目的(題名)
・理由=もくじ(提案項目) 価格、納期、性能、アフターサービスなどの表題
・事例証拠=提案項目を具体的に根拠付けできるデータや数値内容のページ
商談のトークを組み立てる
商談時にはわかりやすく、端的にメリットを伝える必要があります。
・主張・結論=訪問した目的を明確に伝える
例)「今日、お伺いさせて頂いたのは◯◯をご紹介させて頂きたいと思っております」
・理由=相手にメリットがあると思う理由
通常の商談の場合は3点くらいにまとめるのがいいでしょう。
例)「今回、オススメさせて頂く商品は他社と比べて、大きく3つの点が優れております。3点とは、価格と性能と将来性です」
・事例証拠=具体的な説明に入る
例)「では、価格から個別具体的にご説明させて頂きます。」
この2点のように、ビジネスで使える場面は本当に多くあります。
型をさえ覚えてしまえば後は場面、場面において当てはめていけばいいだけです。
最初は机上で組み立てて、整理する必要がありますが回数をこなしていくと頭の中で組み立てることができるようになります。
ここまで出来るとあなたのロジカル・シンキング力は、サラリーマンではトップ5%には入ることができるでしょう。
ピラミット・ストラクチャーを作成する時には4つのポイント
主張を明確にする
理由付けは主張を直接説明すること
理由付けはそれだけで十分かを検討する。なぜ十分であると根拠も考える
だから(so what?)、どうして(why so?)を意識した展開にする
この4つのポイントは先程まで述べた1〜4の内容が詰まっています。
『主張を明確にする』は1番目の言葉の定義をしっかりとする。
『理由付けは直接説明すること』は2番目の道筋がしっかりと通っていることを意識する。
『理由付けはそれだけで十分かを検討する。なぜ十分であると根拠も考える』は4番目のミッシーの考え方を使ってモレなく、ダブりなくをしっかりとする。
『だから(so what?)、どうして(why so?)を意識した展開にする』は2番目の道筋が通っているのと、3番目の帰納法を使う。
4つのポイントをしっかりと意識すると自分自身の頭の中が整理され且つ他の人にもわかりやすい組み立てができるようになります。
まとめ
ロジカル・シンキングは多くの方が苦手とする分野です。
今回はできるかぎりシンプルに、明日からでも使えるようにお伝えさせて頂いたつもりです。
仕事がデキる人はロジカル・シンキングを上手く使いこなくことができる人です。
最初は「出来ているのかなぁ?」って思う場面も出てくると思います。
そこで、考えることやピラミット・ストラクチャーを作ることを止めず『論理的に考える習慣』として落とし込んでいくのです。